就労継続支援B型(以下、B型)で工賃を受け取ったら障害年金が止まるのではないか、生活保護を受けていてもB型に通ってよいのか。この2つの疑問に、国(厚生労働省)と日本年金機構の公式資料で確かめられる範囲で答え、人によって扱いが変わる部分は確認先もあわせて紹介します。
この記事のポイント
- 障害年金は、B型の工賃などの収入があっても、原則として、それだけで直ちに止まったり減ったりすることはありません(20歳前の傷病による障害基礎年金を除く)
- ただし、障害年金の更新のときは、働いている状況も含めて障がいの状態が判断されます
- 生活保護を受けている方もB型を利用でき、利用料は0円です。受け取った工賃は、毎月の収入の申告が必要です
- 具体的な扱いは、大分年金事務所や担当のケースワーカーに確認しましょう
障害年金を受けながらB型で働けますか
B型を利用して工賃を受け取ることは、障害年金を受けながらでも可能です。厚生労働省の審議会の資料では、障害年金について次のように説明されています。
「障害年金では、原則として、就労をして収入を得たとしても、直ちに障害年金が支給停止になったり、減額されることはない(国民年金法30条の4に基づく障害基礎年金を除く。)」
ここで除かれている「国民年金法30条の4に基づく障害基礎年金」は、20歳より前に初診日がある傷病による障害基礎年金のことです。こちらには所得制限があります(次の項目で説明します)。
同じ資料には「更新時の就労状況によっては障害等級の変更が行われ、その結果として、年金額の減額や年金支給の打ち切りが行われることがある」とも書かれています。工賃の金額だけで直ちに止まることは原則としてありませんが、働いている状況は、更新のときの判断材料の1つです。
20歳前の傷病による障害基礎年金には所得制限があります
20歳より前に初診日がある傷病による障害基礎年金には、所得制限があります。初診日とは、その病気やけがで初めて医師の診察を受けた日のことです。前の年の所得が次の額を超えると、年金の半分または全部の支給が止まる決まりです。
| 前の年の所得(扶養親族がいない場合) | 年金の支給 |
|---|---|
| 3,858,000円を超える | 半分が止まる |
| 4,918,000円を超える | 全部が止まる |
扶養親族がいる場合は、人数などに応じて額が上がります。この額は見直されることがあるため、最新の額は日本年金機構のページで確認してください。
B型の工賃だけで、この額に届くことはまずありません。大分県のB型の平均工賃は月26,498円(令和7年度)で、1年分にしても約32万円です。ARUの事業所も、工賃は時給300円からスタートです。ただし、所得は工賃だけでなく、ほかの収入とあわせて判定されます。ほかの所得や家族の状況で変わるため、心配な方は大分年金事務所で確かめてください。
更新のとき、働いている状況はどう見られますか
障害年金を受けている方には、障がいの状態に応じて提出が必要となる年に、「障害状態確認届(診断書)」が届きます(日本年金機構「障害年金ガイド」)。届くのは誕生月の3か月前の月末です。医師に診断書の欄を書いてもらい、誕生月の末日までに提出します。
精神の障がい(知的障がい・発達障がいを含む)については、働いている状況を診断書の内容とあわせてどう考慮するかが、国の基準に次のように書かれています。
| 資料 | 書かれていること |
|---|---|
| 障害認定基準「精神の障害」の節(統合失調症・気分障害、器質性精神障害、知的障害などの各項) | 「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず」、仕事の種類や内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容などを十分確認したうえで判断する |
| 精神の障害に係る等級判定ガイドライン | 就労継続支援A型・B型や、障害者雇用制度による就労については、「1級または2級の可能性を検討する」 |
つまり、B型に通っていることだけで日常生活能力が上がったと判断されるわけではありません。仕事の内容や、仕事場で受けている援助の状況もあわせて判断されます。ガイドラインの「可能性を検討する」という表現は、等級を保証するものではありません。身体の障がいは、別の基準で判断されます。
更新の診断書を書いてもらうときは、B型でどんな仕事をしているか、スタッフからどんな援助や配慮を受けているか、休みがちな時期があるかなど、働いている実際の様子を主治医に伝えておくことが大切です。
障害年金は非課税。利用料の区分は本人と配偶者の市民税で決まる
B型の利用料の1か月の上限額は、本人と配偶者の市民税の課税状況で決まります。ここで気になるのが、障害年金に税金がかかるかどうかです。障害年金は、所得税がかからない収入(非課税)です(日本年金機構)。ただし、市民税が課税されるかどうかは、本人と配偶者のほかの所得によって変わります。大分市では、生活保護を受けている世帯と市民税が非課税の世帯は0円です。
自分がどの区分になるかは、受給者証の申請のときに大分市障害福祉課で確認できます。申請の流れは「大分市で就労継続支援B型を使うまで|受給者証の申請から利用開始までの流れと必要なもの」、利用料のしくみは「就労継続支援B型の利用料はいくら?大分市の負担上限額と1日あたりの目安」で詳しく解説しています。
生活保護を受けながらB型を使えますか
生活保護を受けている方も、B型を利用できます。生活保護を受けている世帯の利用料の上限額は0円です(厚生労働省・大分市)。
受け取った工賃は、毎月申告しましょう
厚生労働省は「生活保護の受給中は、収入の状況を毎月申告していただきます」と案内しています。収入の申告は、生活保護法第61条で決められた届出の義務です。同じ条文は、収入や支出など生計の状況に変動があったときは、すみやかに福祉事務所に届け出ることも定めています。B型の工賃も収入なので、金額が少なくても申告が必要です。B型に通い始めて工賃を受け取るようになったときも、収入の状況が変わるので届け出ます。
工賃がどう扱われるかは、ケースワーカーに確認を
生活保護費は、国の基準で計算した最低生活費から、年金や働いて得た収入などを引いた額です(厚生労働省)。働いて得た収入については、勤労に伴う必要経費として「基礎控除額表」の額を差し引いてから収入として認定する仕組み(勤労控除の基礎控除)があります(厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」)。控除された分は、保護費から差し引かれずに手元に残ります。
ただし、B型の工賃がこの基礎控除の対象になるかどうかは、この記事では確認できませんでした。控除の額も、収入の額や、世帯で働いている人数によって変わります。扱いは福祉事務所の判断になるため、B型を使い始める前に、「工賃はいくらまで手元に残るか」を担当のケースワーカーに確かめておくと安心です。
障害年金を受けている場合は、実際に受け取る年金の額が収入として認定され、その分、生活保護費が調整されます。
迷ったら、ここに確認する
大分市にある年金事務所は、大分年金事務所(大分市東津留2-18-15)です。年金の相談は、全国どこの年金事務所でも受け付けています。生活保護の担当は、お住まいの地域によって、大分市生活福祉課(市役所第2庁舎2階)、生活福祉東部事務所(鶴崎市民行政センター3階)、生活福祉西部事務所(稙田市民行政センター2階)のいずれかです。
| 確認したいこと | 確認先 |
|---|---|
| 障害年金の更新、診断書のこと | 大分年金事務所、主治医 |
| 20歳前の傷病による障害基礎年金の所得制限 | 大分年金事務所 |
| B型の利用料の区分 | 大分市障害福祉課(097-537-5658) |
| 生活保護を受けている方の工賃の扱い、収入の申告 | 担当のケースワーカー(大分市生活福祉課、生活福祉東部事務所、生活福祉西部事務所) |
よくある質問
障害年金の更新のとき、B型の工賃の額は見られますか?
精神の障がいの認定基準で確認するとされているのは、仕事の種類や内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容などです。20歳前の傷病による障害基礎年金では、これとは別に、前の年の所得の額で支給制限が判定されます。
生活保護を受けていても、障害年金は受け取れますか?
生活保護は、年金など他の制度で受けられる給付を先に活用することが前提の制度です(厚生労働省)。障害年金を受けられる方は年金を受け、保護費は、最低生活費から年金や工賃などの収入を引いた額です。
これから障害年金を申請する予定です。B型に通っても大丈夫ですか?
精神の障がいの等級判定ガイドラインでは、B型での就労は「1級または2級の可能性を検討する」とされています。等級を決めるときは、仕事の内容や仕事場で受けている援助の内容なども確認されます。身体の障がいの基準は、これとは別です。申請については、大分年金事務所や主治医に相談してください。
生活保護を受けています。工賃が少なくても申告は必要ですか?
必要です。収入の申告は生活保護法第61条で決められた届出の義務で、金額にかかわらず申告します。申告の方法や時期は、担当のケースワーカーに確認してください。
障害状態確認届(診断書)は、いつ届いて、いつまでに出しますか?
日本年金機構の「障害年金ガイド」によると、提出が必要となる年の誕生月の3か月前の月末に届きます。医師に診断書の欄を書いてもらい、誕生月の末日までに提出します。届いたら早めに主治医に相談し、B型での働き方も伝えておきましょう。
障害基礎年金1級を受けています。B型を使う前の就労選択支援は必要ですか?
大分県の案内では、障害基礎年金1級を受けている方は、就労選択支援を希望に応じて利用するとされています。しくみは「就労選択支援とは?B型を使う前に知っておきたいこと」で解説しています。
まとめ
障害年金は、B型の工賃などの収入があっても、原則として、それだけで直ちに止まったり減ったりすることはありません(20歳前の傷病による障害基礎年金を除く)。更新のときは働いている状況も含めて判断されるため、主治医に実際の様子を伝えておきましょう。生活保護を受けている方もB型を利用でき、利用料は0円ですが、受け取った工賃は毎月の申告が必要です。
一人ひとりの状況によって扱いが変わるため、不安なことは、大分年金事務所や担当のケースワーカー、主治医に早めに相談しましょう。
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出典
- 厚生労働省 第17回社会保障審議会年金部会 資料2「障害年金制度の見直しについて」(2024年7月30日)
- 日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」等
- 日本年金機構「障害年金や遺族年金を受けている人にも公的年金等の源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」
- 日本年金機構「障害年金ガイド 令和8年度版」
- 日本年金機構「大分年金事務所」
- 生活保護法 第61条(届出の義務) e-Gov 法令検索
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」(厚生事務次官通知)
- 厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」(厚生省社会局長通知)
- 厚生労働省「障害者の利用者負担」
- 大分市「障害福祉サービス等の利用について(18歳以上の方へ)」
- 大分市「生活保護制度について」
- 大分県「就労選択支援について」
